本日は私の先日の実体験をもとに、日常でも役立つマーケティングの理論についてお話します。

前回の記事では、サンフランシスコで開催された「The Marketing Nation Summit 2017」というイベントに参加してきたことについて書きました。(前回の記事はこちら

マルケト社というグローバル企業が主催しているこのイベントの3日目の夜には世界中から集まった参加者のためのパーティーが開催されました。

パーティーの目玉はなんといってもグラミー賞を受賞したこともあるサンフランシスコ出身の3人組バンド「Train」のライブです。

Youtubeの再生回数が1億2000万回を突破した名曲「Hey,Soul Sister」

 

Trainの登場から会場は大盛り上がりでした。
恥ずかしながらそれまでTrainの曲は上記の「Hey, Soul Sister」しか知らず、よく存じ上げていなかったのですが、グラミー賞受賞の実力は並みではなく、ライブを聴いているうちにすっかりファンになってしまいました。私だけではなく一緒にいた日本からの参加者もみんな同じことを言っていたのでさすがの実力です。
その日はすっかりいい気分で宿泊しているホテルへと戻りました。
後日談ですが、帰国したその日のうちにiTunesで代表的な曲を片っ端から購入していったことは言うまでもありません(笑)。

海外では企業がイベントを行う際に、このように有名人やアーティストを呼ぶことがよくあります。
Adobe(アドビ)社が2016年に開催したサミットでは俳優のジョージ・クルーニーがゲストスピーカーでした。また、世界のソフトウェア市場でベスト10にもランクインしているSalesforce.com(セールスフォース・ドットコム)社のサミットには、U2、スティービー・ワンダー、ブルーノ・マーズなどの超大物アーティストがゲストで出演しています。

企業がこれらの超大物有名人やアーティストを呼ぶのには当然ながら莫大な費用がかかります。
ビジネスと有名人やアーティストの間に一見関係はなさそうに思えますが、ここにはどのような意味があるのでしょうか。
なぜ、企業は多額の費用をかけて有名人やアーティストをイベントのゲストに誘致するのでしょうか。

ジルマンの感情理論

感情についての興味深い理論に「ジルマンの感情理論」 というものがあります。
ある刺激から生じた生理的興奮が別の刺激によって引き起こされた覚醒に移動し、さらに強化されるという理論なのですが、わかりやすく言うと人は興奮状態にあるとき、周りにあるものへの「好き」や「嫌い」という感情も高められるということです。

一つ具体例をご紹介します。
オリンピックやサッカーワールドカップのようなスポーツのビッグイベントでは企業は高い協賛金を払ってでもスポンサーになろうとしますね。
単純にテレビの視聴率が高いという理由もありますがそれだけではありません。実はイベントによって興奮が高まった状態で商品を視聴すると、その商品がより興奮させるものであると視聴者に感じられるからです。
このことを「興奮転移」といい、イベントで高まった興奮状態が商品への感情に「転移」されるのです。

企業がイベントで有名アーティストのライブを実施するのも、同様の理由が考えられます。
ライブによって興奮状態になったとき、「楽しい」という感情はイベントを主催した企業へと転移されます。
その企業のことを「好きだ」という感情が楽しい感情と共に気づかないうちに強化されるのです。

さて、日常生活でもこの理論はさまざまな応用ができます。
例えば、好きな異性が音楽好きであれば、一緒に音楽イベントに行くのはどうでしょうか。
イベントによって高められた生理的興奮が、性的興奮に変わることが期待できます。「自分が興奮状態にあるのは、この人がステキなせいだ」と考えてしまう可能性があるからです。映画鑑賞なども同様の効果が期待できますね。

脳に定着した良い体験はそのときの楽しい感情と共に思い出されるようになります。
よって、相手が「楽しい」と思う”体験”を提供することが、ブランディングには重要なのです。