「続きはWEBで」
冒頭の部分だけを紹介して、続きを見たい人はWEBサイトの方へ誘導する。
今では当たり前のように使われているマーケティング手法です。

インターネットの普及に伴い、プロモーションの手法も変化しました。
時間が限られているTVコマーシャルや雑誌などの広告枠と違い、インターネット空間は時間もスペースも自由です。WEBコンテンツへと顧客を誘導して、CMや広告では伝えきれない、より深い体験を提供できるようになったことは広告業界にとっても大きな変革でした。

印象的に覚えている例として、みなさんはオダギリジョーさんが出演していたライフカードのCMを覚えているでしょうか?
人生の決断の局面で「どうする俺?」と3枚のカード(選択肢)が提示され、ネット上では「その後」を見ることができるという物語で、「続きはWEBで」CMの成功例や先駆けと言われています。

このように、いわば「不完全」な広告やプロモーションに対して、私たちが興味を抱いてしまうのはなぜなのでしょうか。そこにはどのような心の働きが影響していると思いますか。

ツァイガルニク効果

リトアニア出身の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクは実験によって「目標が達成されない行為に関する未完了課題についての記憶は、完了課題についての記憶に比べて想起されやすい」ということを証明しました。

簡単に言うと、不完全なモノの記憶の方が、完全なモノの記憶よりも思い出しやすいということです。

このような人の心理的な特性をツァイガルニク博士の名前をそのまま取ってツァイガルニク効果と呼びます。

なぜ完全なものよりも不完全なモノの方が思い出しやすいかというと、目標が達成されない方が緊張が持続するために、未完了課題の方が強く記憶されるからだと考えられています。

このような特性があるため、わざと不完全に作られたTVコマーシャルは記憶に残りやすく、インターネットをしているときについ調べてしまうのです。

そういえば、広告に限らず制作途中で亡くなってしまった巨匠が残した未完の絵画とか、有名な小説家や漫画家の未完の作品とか、なぜだか非常に気になってしまうことがありますね。

ツァイガルニク効果を日常に応用すると「実はこんな面白い話があるんだけど…続きは今度話すね」
なんて焦らしを入れると、相手も非常に気になってしまう可能性がありますね。

さて、一時期は非常に多かった「続きはWEBで」というコマーシャルも現在では見かけなくなってきています。
SNSやWEBコンテンツが以前よりもずっと見られるようになり、TVがメインでWEBが補助的な役割を担っていたものが、WEBメインに変わってきたからだと言われています。

マーケティングや広告手法は常に移り変わっていますが、人の心理的効果まではそう簡単には変わりません。

未完の美学とも言える「ツァイガルニク効果」。
覚えていると論理的に誰かを説得するときや何かの実施方法を考えるときなど、さまざなときに役立つかもしれません。