消費者が「商品の存在を知ってからその商品を購入するまで」の間に、どのような心理プロセスをたどるのかについての研究はマーケター(マーケティングを実践する人)にとっては最も重要なテーマの一つです。

今回お伝えする「AIDMA」や「AISAS」というモデルはマーケティング業界や広告業界で働いている人にとっては知らない人はいない(プロであれば知らないと恥ずかしい)と言えるほど有名な「マーケティングの基本」と呼べる内容なのでしっかり覚えましょう。

マーケティングの入門書などを開けば必ず掲載されている内容ではありますが、学術的な説明で終わっている本も多いので、実際にプロのマーケターたちがどのようにこれらの知識を活用しているのか、より実践的な話も踏まえて詳しく解説していきます。

AIDMA(アイドマ)

AIDMAは1920年代に米国のサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された、消費者が商品を初めて知ってからその商品を購入するに至るまでの心理プロセスをモデル化したものです。

消費者は商品を購入するまでに、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)というプロセスをたどると言われています。
各プロセスそれぞれの頭文字をとってAIDMA(アイドマ)です。

AIDMA_model

街の看板広告、TVコマーシャル、インターネット、モバイルアプリなどなど、現在の私たちは広告宣伝に囲まれて生活しています。
とある調査によると私たちが一日の間に接触している広告の数は3000以上にものぼるそうです。

これはまた別の記事で書きますが、人は注意を払っていないものは目に入っていても認識はしていないものです

そのため、売り手の最初の目標は、まずは消費者に自社の商品の存在を気付いてもらうことです。目に留まりやすいようなデザインにしたり、面白いコピーを考えたりして、無数にある広告の中から自社の広告に意識を向けてもらわなければなりません。

商品のことを知って(認知して)もらうことを「商品認知」といいますが、マーケターにとっては非常に大事な指標の一つに商品の「認知率」があります。これは市場のどのくらいの人がその商品のことを知っているかを調査して数値化したものです。

さて、商品のことを認知してもらったら、次の段階はその商品に興味を持ってもらう必要がありますね。

商品を欲しいと思う心理プロセスは恋愛のプロセスと似ています。
「あの人が欲しいわぁ~」となってもらうためには、まずは相手に自分のことを知ってもらい、興味を持ってもらう必要があるのです。

企業はそのために街中や雑誌、TVコマーシャル、インターネットなどの様々な場所に広告を出したり、ウェブサイトにページを作ったり、商品のサンプリングを行ったりして、自分たちのことを消費者にPRしています。
曲がり角から飛び出してぶつかったり、街中で偶然遭遇したり、ピンチのときに登場したり、少女漫画のイケメン男子のように、いろいろな場面で何度も登場してはヒロインのドキドキ度を徐々に高めようとしているわけです(笑)。

この何度も何度も日常生活に登場することにも当然大きな意味があってのことなのですが、それもまた今度別の記事で解説していきますね。

さて、「これ欲しい~」となってから実際にお店に行って購入する(アクションする)までの間にあるプロセスが「Memory(記憶)」です。
例えば、「今日はCECIL McBEE であのブラウスを買うぞー」とCECIL McBEE のショップにやってきたお客さんは、雑誌か何かで「CECIL McBEEのブラウス」を観て欲しくなり、それを覚えて(記憶して)お店にやってきているのです。

AIDMAは実際にどのように使われている?

Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)のプロセスについて解説してきましたが、最後にプロのマーケターたちがこの購買プロセスモデルを日常業務でどのように活用しているかを解説します。

グロービス経営大学院の画像がわかりやすかったので、まずは以下の画像をご覧ください。

AIDMA_Communication画像参照:グロービス経営大学院

上記の図は、AIDMAの各プロセスにおける顧客の心理状態と、売り手がとるべきコミュニケーションの手段を表しています。

最初の段階では顧客の心理を「知らない」から「知っている」に持っていくために広告やTVコマーシャルを実施して認知を高めたり、「知っている」から「興味がある」に引き上げるためにウェブサイト上に特設ページを作るというような「手段を考えるための思考の枠組み」として、AIDMAモデルをマーケターは利用しています。

記憶の呼び戻しのためにセール直前にメールを配信したり、行動を促すために最後の一押しとして特別なキャンペーンを実施するなどの手段(戦術)が考えられますね。

そして、顧客がちゃんと次のプロセスに進んでいるのかを計測して、各プロセス間の遷移率を数値化してモニタリングしながら改善を試みています(この計測方法を考えるのがプロのお仕事)。ただの概念的なアイデアに留まらず合理的な根拠に基づいて行動するのがマーケティング思考です。

 AIDMAはもう古い?

今回はマーケティング思考の基本「AIDMA」について解説しました。

AIDMAの考え方は広く普及していて、現在でも多くの場面で使われてはいるのですが、そうはいっても約100年も前にできた理論だということを忘れてはいけません。

次回は「AISAS(アイサス)」という、もう一つの有名な理論に触れながら、インターネット時代における消費者の購買プロセスの変化について解説します。

今回の内容は前編、後編がそろってはじめて完結する内容になりますので、後編もぜひご一読ください。

後編へ続く