前編では伝統的な消費者の購買プロセスモデルである「AIDMA」について解説をしました。(前編がまだの方はこちら

AIDMA_modelAIDMAの法則

このモデルは現在でも広く使わているマーケティングの基本的な理論ですが、AIDMAが考案されたのは1920年代という今から約100年も前の時代であり、消費者の購買行動も当時とは変わっているということを理解しておかなければなりません。

特にインターネットの普及は人々の生活を大きく変えただけでなく、商品を購入するというプロセスにおいても大きな変化をもたらしました。

このインターネット時代における消費者の購買プロセスに対応するモデルとしてAIDMAを発展させたモデルが「AISAS」です。

AISAS(アイサス)

AISASは国内最大手の広告代理店・電通が1995年に提唱し始め、2005年に同社の商標として登録されました。

AISASではAIDMAにあった「Desire」と「Memory」が「Search(検索)」に変わり、「Action」の後に「Shere(共有)」というプロセスが追加されています。

AISUS_model

これはみなさん実体験としてすぐに理解できるのではないでしょうか。

何か興味のあるものが見つかったとき、すぐにスマホで調べますよね?
インターネットの普及やスマホ革命によって大量な情報へのアクセスは以前よりもずっと容易になりました。

お店を探すときには「食べログ」や「ぐるなび」で検索し、レシピを探すときには「クックパット」、美容室探しは「ホットペッパー Beauty」、旅行探しは「じゃらん」などなど、「検索」が私たちの生活において浸透していることは疑う余地もありません。

上記のサービスはそれぞれ口コミが豊富な点でも有名ですが、お店に行ったあとや購入した商品についてFacebookやTwitter、インスタグラムなどで「シェア」するのが現在ではすでに当たり前の行動となっていますね。

AIDMAでは「Action(行動)」で終わりとなっていましたが、AISASでは「Share(共有)」された内容が、次に誰かが検索したときの大きな判断材料になるという循環構造になっている点が大きな特徴です。
現在は口コミが大きな力を持っている時代といえるでしょう。

また、企業側も商品に興味を抱いた顧客が検索するときに、自社のページが検索結果の上位に表示されるようにSEO(Search Engine Optimizationの略でサーチエンジンで上位表示するための対策のこと)を強化することがデジタル時代のマーケティングおいては基本の対策となっています。

最新の研究

「AIDMA」も「AISAS」もマーケティングの基本ですので覚えておくべき内容だとは思いますが、テクノロジーの発展による人々の消費行動の変化と共に、マーケティングの手法や理論も近年急速に変化しています。

2年ほど前の2015年、「統合マーケティング」の提唱者であり、フィリップ・コトラー、デイヴィッド・アーカーと共に「マーケティングの三大巨匠」と呼ばれている米国ノースウェスタン大学のドン・シュルツ教授が来日した際に氏の講演を聴く機会がありました。

Don_E_Schullzノースウェスタン大学ドン・E・シュルツ教授
画像参照:Harvard Business Review

ドン・シュルツ教授は明確に「AIDMA」や「AISAS」をすでに時代遅れの理論と唱えている方で、講演では「時代や消費者の行動は変わっているのにいつまで100年前や20年前の理論を使っているんだ」という趣旨のことを話されていたのが印象的でした。

AIDMAやAISAS以外にも実はいろいろなモデルがすでに存在し、これまで電通を中心に「SIPS」「AISCEAS」「DECAX」など様々なモデルが開発されています。

最近の話では、2015年10月にアタラと電通プロモーション・デザイン局が共同開発した「Dual AISAS Model」が新たに発表されました。

 Dual_AISUS_Model画像参照:MarkeZine
アタラと電通、新たな消費行動モデル「Dual AISAS Model」を開発

Dual AISASモデルは従来の横のAISASに加えて、縦のAISAS(Active⇒Interst⇒Share⇒Accept⇒Spread)が加わった立体モデルなのですが、こうなるともう難解でよくわからないですね。

最新の研究を少しご紹介しましたが、いずれのモデルも、「AIDMA」や「AISAS」ほど普及も確立もされていない理論ですので、マーケティング初心者のみなさんは覚える必要はまったくありません。

「AIDMA」や「AISAS」を覚えて自信満々で使おうとすると、マーケティングのプロからは「それ時代遅れだよ」と言われて恥ずかしい思いをしてしまう危険性があるということを頭の片隅に入れていただく程度で結構です。

ではAIDMAやAISASを利用するのは控えるべきかというとそんなこともなく(実際に今でもよく使われていますし)、現代マネジメントの父ドラッガー教授も代表作『マネジメント』の中で「基本と原則に反するものは例外なく破綻(はたん)する」と言っています。

時代が変わっても人の本質は変わりませんので「基本」というものはしっかりと押さえておくべきなのです。

前編、後編の2回にわたり「AIDMA」と「AISAS」について解説しました。
汎用性が高く、いろいろなところに応用できる理論ですのでぜひ覚えて活用してみてください。

そこまでできればもうあなたも立派なマーケターです。
日常の中にマーケティング思考を!