私たちの中には「感情」と「理性」という2つの心の働きが存在します。

通常、感情と理性は協力をし合って日常生活のさまざまな選択に答えを出しているのですが、私たちはときには感情と理性の反発によって意思決定に悩まされることもあります。

感情と理性という2つの心の働きについて詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてお読みください。
「好き」と「嫌い」は対照的ではないって知ってる?

状況によって選択の優先順位は変化する

Baba ShivとAlexander Fedorikhinが行った実験(1999年)

被験者に以下の2つの食べ物のうち1つを選択してもらいます。

  1. チョコレートケーキ
    感情的には好ましいが、認知的にはネガティブ(=サラダより美味しそうだが健康という点では好ましくない)
  2. フルーツサラダ
    感情的には好ましくないが、認知的にはポジティブ(=ケーキの方が美味しそうだが健康にはより良さそう)

例えば、難しい計算のような認知的タスク(頭を非常に使う作業)を与えた状態で選択させると、理性では健康に良さそうだとわかっているサラダよりも感情的に好ましいチョコレートケーキを選択することが多くなります。

反対に、リラックスしていたり、情報処理をより行いやすい状態で被験者に同じ選択をさせると、感情的には好ましくないが、健康に良さそうだと理性ではポジティブにとらえているフルーツサラダを選択する傾向が強くなります。

実験の結果をまとめると、「頭を使う作業をしているなど情報処理能力が低下している状態では理性よりも感情が上回り、反対に情報処理が行いやすい状態では感情よりも理性が勝つ傾向がある」ということです。

嗜好品を売るには感情が優先されるポイントを狙う

脳が疲れている状態では理性よりも感情が優先されます。

夜遅くまで働いた日の疲れている帰り道、ご褒美と自分に言い聞かせて衝動的にアイスやスイーツを買ってしまった経験はありませんでしょうか。
頭の中では夜中に多くの糖分を取ることが体重や健康を考えると悪いことはわかっていますが、つい「甘いものが食べたい」という感情を優先させてしまいますね。

convenienceStore_sweets最近のコンビニのスイーツコーナーはとても充実
画像参照:こぐまトレンド情報局

以上を考えるとコンビニにスイーツコーナーを設けることは非常に合理的です。
嗜好品は理性的な思考よりも衝動的な感情が優先される導線上に配置することが良いと考えられます。すなわち、「帰り道」にあるコンビニですね。

いつか移動式のクレープショップなどで実証実験をしてみたら面白そうですね。
資格試験や入学試験など頭を非常に使ったあとの試験会場から駅までの帰り道の導線にクレープショップを配置したらご褒美効果もあって通常時よりも多く売れるのではないでしょうか。(実証データがあるわけではないので個人的な意見です)

人は非合理な判断を行ってしまう感情的な生き物です。
しかし、だからこそ必ずしも合理的に考えた結果になるわけでもないため、マーケティングは奥深く面白いのです。
AI(人工知能)が急速に発展してきていますが、感情を理解するという点ではまだまだ機械は人に及びません。

勝つ確率を上げるための論理的な思考を持ちつつ、消費者の感情を理解するための経験や分析力がマーケターには求められるのです。

参考サイト:JSTOR『Heart and Mind in Conflict: the Interplay of Affect and Cognition in Consumer Decision Making』