これまで数々のイノベーションを起こしてきたAppleですが、その結晶がiPodと電話とインターネットを融合させた「iPhone」でしょう。

iPhone登場以前にもNOKIAやBlackberryなどの「スマートフォン」はすでにありました。iPhoneが画期的だったのは画面の下半分を占めていたキーボードを取っ払い、マルチタッチという画面を指だけで操作ができる方式を開発したことです。これにより巨大なスクリーンを自由に使えるというアプリの表現力の向上と圧倒的な操作性を実現しました。

2007年の基調講演(上記の動画)でApple SEOのスティーブ・ジョブズが「Today, Apple is going to reinvent the phone. (本日、アップルが電話を再開発します)」と語ってから早10年が経ち、まもなく次のiPhone8が2017年9月13日(水)の新製品発表イベントで披露されると言われています。

ホームボタンが廃止されるとか、3D顔認証システムが採用されるとか事前に様々な噂がネット上で飛び交っていますが、その中でも私が大きく期待を寄せているのが「iPhoneへのAR機能搭載」です(正確にはARKitが標準機能として組み込まれているiOS11がプリインストールされたARネイティブのスマホが登場すること)。

これによりテクノロジー界にパラダイムシフト(世界が変わるくらいの劇的な転換)を起こすと主張しているアナリストもいたりと、世界から大きな期待が寄せられています。

1歩先の未来を見通すのが真のマーケターですのでテクノロジー関連のことも覚えておいて損はありませんね。
本日はAR(拡張現実)について多いに語らせていただきます。

AR(Augmented Reality:拡張現実)とは

ARとはその他の通り、現実の風景に携帯の画面などのデバイスを通してバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、「現実の世界を仮想的に拡張する」技術です。

わかりやすい例では、昨年2016年に世界中で爆発的に流行した「ポケモンGO」がまさにARを使ったコンテンツの成功事例として挙げられます。

pokemon_go画像参照:pokemongo.biz

プライバシーの問題などで物議を醸した「Google Glass」もまたARを推奨するデバイスとして大きな注目を集めましたね。

googleglass画像参照:analitik.am

例えばGoogleマップを利用していて、よくどちらに進めばいいのか方角がわからないくなるなんてことないでしょうか。そんなとき、現実の風景をスマホのカメラでかざしたら進むべき方角が画面の中に矢印で表示されたら便利だと思いませんか?

実際にこのようなARを利用したカーナビゲーションシステムがすでに開発されています。

pioneer_car_naviパイオニアが開発した「カロッツェリア サイバーナビ」

話は飛びますが、アメコミのヒーローでアベンジャーズの一員でもあるアインアンマンのスーツはまさにAR+AIというこの分野の最終理想形なのではないでしょうか。

iron_man_jarvis画像参照:oriver.style

ARはかなり前に一時ブームがあり、ARを利用した多くのイベントが開催されたり、アプリがリリースされたりしました。しかし、これだけ利便性の高い技術にも関わらず、どれも盛り上がりはいまいちであったと言わざるを得ません。
「いま日常的にARを利用しています」って人はあまりいないですよね。まだまだARが広く世間に普及しているとは言いがたい状況です。

なぜなら、これまでARを普及させるためにはあまりにも高い障壁が立ちふさがっていたからです。

統一プラットフォームの不在

 これは実体験になるのですが、ARを活用したプロモーションで苦い経験をしたことがあります。

今から5年ほど前、当時私は某ショッピングモールのプロモーションを担当していたのですが、ある年のクリスマスシーズン、全国に複数ある同グループのショッピングモール共通の企画としてARを使ったファミリー向けのイベントが企画されました。

企画の概要は、モール内に設置されている大きなクリスマスツリーにAR用のマーカーを設置しておき、スマホに専用のアプリをダウンロードして、カメラをマーカーにかざすとサンタクロースや雪だるまなどのかわいいキャラクターが飛び出してきて一緒に写真を撮ることができるというものです。

「ARフォトスポット」と呼ばれているもので、SNSへの拡散を期待したプロモーション施策として観光地などで同様の企画が実施されることがあります。

ar_osakajou2アプリ「AR大坂城豊臣天守 戦国最後の戦い -大坂夏の陣-」
画像参照:PANORA

当時、ARはまだ新しい技術として注目を集めている頃であり、まだまだ一般の人には珍しいものでした。
施策開始前にモール内のスタッフ何人かに利用してもらい反応をみてみたときには、皆一様に「何これ~!面白ーい!」と驚きと興味を持って受け入れられ、非常に好感触でした。

そのため、きっとモールを訪れた多くの家族連れの方に楽しんでいただけると施策開始前には思っていたのですが、いざ蓋を開けてみると一日に利用するお客さんは本当に数えるほどで、ほとんどのお客さんに利用されないという散々たる結果となりました。

敗因は単純で、専用のアプリをダウンロードするというハードルがあまりにも高過ぎたのです。

ARを使った企画を実施する場合、AR共通のプラットフォーム(基盤)というものがなかったため、ユーザーには毎回異なる専用アプリをダウンロードしてもらわなければなりませんでした。

普通ちょっと使いたいくらいの軽いノリでわざわざアプリをダウンロードしたりしないですよね?

ARで成功したポケモンGOは「ポケモン」という圧倒的に強いブランドを持っていたため、このハードルを乗り越えて大成功できたのですが、ほとんどすべてのARを使った企画が「まずどうやってユーザーにアプリをダウンロードしてもらうか」という高過ぎるハードルに苦しんでいます。

もしスマホ全体に共通する統一のAR基盤があれば…
それがまさにこれからアップルが仕掛けようとしていることなのです。

スマホのAR統一プラットフォームができれば、一気に開発が進み、様々なサービスやコンテンツ、プロモーションへのAR利用が加速することでしょう。

アップルが最もユーザー数の多いARプラットフォームになる?

ARの統一プラットフォームについては、GoogleもProject Tangoという同様の開発を行っています。

しかし、アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏は過去モデルのOSもiOS11にアップデートされることから、iOS11は、Googleが立ち上げたProject TangoやMicrosoftのHolelensを押さえて「最もユーザー数の多いARプラットフォームになる」と予測しています。

これにより、iOS向けに一気に各企業の開発が加速しそうですね。

そして、世界の中でも最もこの波の影響を受けそうなのが、実は日本なのです。

以下はGoogleのAndroidとAppleのiPhoneの世界シェアと日本国内でのシェア比較です。

android_iOS_share参照:XERA

世界的にはAndroidシェアが圧倒的に多いのに対して、日本国内はiPhoneを使っているユーザーの方がずっと多いことがわかりますね。世界の中でiOSのシェアが最も高い国は日本です。

そのため、iOSに向けたAR関連の事業がこれから日本国内では大きく伸びてくることが予測されます。

当然GoogleもAndroidにおけるARの統一プラットフォーム開発を進めてくるでしょうか、このままいくとAppleの方がリードしそうですね。

ARによってAppleが再び世界を変えるのか、注目してみてください。