良いアイデアを生み出すための発想法や、戦略を考えるための枠組みとして体系化された論理的な思考法フレームワークと呼びます

▼フレームワークについてはじめての方
マーケティングの「フレームワーク」とは何だろう?

戦略コンサルタントや世界中のリーダーたちが使うフレームワークにはPEST分析やSTP分析、3C(5C)分析、5フォース分析、SWOT分析など、さまざまな分析手法がありますが、これらの分析手法は大きく分類すると「外部環境分析」と「内部環境分析」に大別されます。
※SWOT分析に関しては外部環境と内部環境の掛け合わせなので本日のお話からは外します。

順番としては「外部環境分析」⇒「内部環境分析」の順で行います。

個々の分析手法に進む前に、外部環境分析と内部環境分析とは何なのか、その意味合いについて理解しておきましょう。

外部環境分析

外部環境分析とは一言でいえば「自分たちを取り巻く状況を理解するための分析手法」です。

自分たちを取り巻く状況を理解する」とは、例えば、現在は「働き方改革」や「女性の輝く日本」「ジェンダーフリー」が推奨されているというような社会的な要因や、「若者の間ではFacebookよりもTwitterやInstagramの利用の方が流行っている」というような文化的な要因など、私たちの日常生活にはどのような要因が影響を与えているのかを様々な視点で頭から取り出して整理をし、見える化をすることです。

例えばの話ですが、性能は非常に高いが大量のCO2を排出してしまう車を開発したらどうでしょうか?
現在は「CO2削減」や「クリーンエネルギー」が叫ばれている時代ですので、性能がどれほど高くても一般の消費者にはあまり好かれないかもしれないですね。また環境に優しい車に適応される政府の補助金もなくなってしまうので販売価格も上昇してしまいそうです。

また、音楽をスマートフォンで聴くことが増々一般化しているなか、これから音楽プレーヤー単体のデバイスを制作しようというようなことも時代とは逆行しているといえますね。

このように社会的な流れや世間の流行に逆行することなく、むしろ流行の波をサーファーのように乗りこなし、消費者の「ニーズ(Needs)」をつかむことが外部環境分析の目的のひとつです。

そのためには政治や社会などの大局で観るマクロの視点と、競合や消費者などに視点を狭めたミクロの視点の両方で分析することが大切になります。

また、外部環境分析では「ニーズの把握」以外にも、競争相手について理解することも重要です。

たとえアイデアが世間のニーズに合致していたとしても、すでに物凄く強い競争相手が市場を独占していたり、次々とライバルたちが参入してきて市場を食い合っているような激戦地はよほど自信がなければ避けるべきですね。

Googleのような資金力も優秀な人材も豊富に揃っているような企業が競争相手で、個人や小さな企業が正面から立ち向かっていくようなことは無謀とも呼べる行為です。

世間からのニーズも高く、かつ競争やその他の脅威も少ない領域はどこなのかを見つけることが外部環境分析の目指すゴール
です。

内部環境分析

外部環境分析によって明らかになった世間の「ニーズ」に対して自分たちに何ができるのかを検討したり、競争相手がいたとしても自分たちが勝てる領域はどこなのかを検討するのが内部環境分析です。

「ニーズ(Needs)」という言葉に対して、技術、人材、ノウハウ、経験、アイデアなどの自分たちが保有している資産のことをマーケティング用語で「シーズ(Seeds)」といいます。Seedsとは日本語に翻訳すると「種」という意味で、その名の通り「ビジネスの種」になりうる保有資産のことです。

内部環境分析は「自分たちのことを見つめ直す作業」であり、言い換えると「ニーズを満たすことができ、かつ競合優位性のあるシーズを持っているかどうかを検討する作業」ともいえます。

具体的には、自分たちの強み・弱みや能力のレベルを明らかにして、競争相手と比較して勝てる見込みがありそうかどうかを検討してみるのが内部環境分析です。

当然ながら、ニーズはあったとしても自分たちにその分野の経験も知見もなく競争相手に勝てる見込みがなさそうな市場に資本を投入して勝負をしかけていくべきではありませんね。「勝つべくして勝つ」領域を冷静に探しだしていくことがマーケティングの王道です。

自社の持つ強みを活かして別の分野に新規参入した事例をひとつご紹介します。
レンズ付きフィルム「写ルンです」で有名な富士フィルムコーポレーションは、写真フィルム事業で培ってきた、写真フィルムの主原材料となるコラーゲンの研究成果や、写真の退色を防止する抗酸化技術、ナノ化技術を活用して、化粧品やサプリメントなどのライフサイエンス分野への多角化を進めています。
自社のシーズを分析し、強みとしている技術を別の分野にうまく転用することができた好例でしょう。

ASTALIFT_FUJIFILM「ASTALIFT」のブランドを展開する富士フィルムのヘルスケア事業
画像参照:shop-healthcare.fujifilm.jp

中国・春秋時代の兵法書『孫氏』の有名な一節に「彼(敵)を知り己を知れば百戦あやうからず」という言葉があります。

敵の実情と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負ける心配はないという意味ですが、外部環境分析と内部環境分析はまさにこの孫氏の兵法をマーケティング戦略の中で実現するためのフレームワークなのです。